経営者インタビュー
話題のサービスや売上急成長で注目を浴びる、成長企業を直撃!成長の秘訣やベンチャー企業の魅力についてインタビューしています。
» 代表取締役社長 田中良和 グリー株式会社
- グリーとは...

グリーは、田中社長が楽天株式会社在職中の2003年に、まだ日本には普及していなかったSNSを独力で開発し、2004年2月にサービスを公開したことが起点となっている。同サービスの利用者は公開後1ヶ月で1万人を突破。利用者の急増に伴い、個人での運営に限界を感じた田中社長はサービスの運営母体としてグリー株式会社を設立。会員数は爆発的に増加し、2009年9月には1500万人を突破。また2008年12月には東証マザーズに上場するなど、着実に成長を遂げている。
| 資本金 | 20億9,300万円(2009年 9月末現在) |
|---|---|
| 事業内容 | インターネットメディア事業/SNS「GREE」の運営。 サービス開始当初はPC向けの提供が中心だったが、2006年11月KDDI株式会社との事業提携を機に、現在ではモバイル向けのサービス展開に注力。SNSの基本機能の他、SNS連動型ゲームなどモバイル環境に特化した、エンターテインメント要素を備えたコンテンツを独自開発し、提供している。 |
| 従業員数 | 114名(2009年11月現在) |
| URL | http://www.gree.co.jp/ |
「インターネットで世の中を変えていく」という生き方。
高校生の頃は大学に入ることがゴールだと思っていましたね。でも大学生になってみると、その後は、何のために、何をすればいいのだろうかということが見えなくなってしまって。そんな頃、新聞などで当時のヤフーやネットスケープの創業者のことを目にする機会があったことが、私の大きな転機となりました。その記事には、若くても自分たちが何かを変えていくという意志や、そのために寝食を忘れてそこに立ち向かう姿が描かれていたんです。自分たちのためだけの「小さな幸せ」を追い求めるのではなく、未来に対して明るい意志を持って、社会をより良くするという大きなテーマに向かって突き進んでいく。このことにとても心が揺さぶられた。インターネットに興味を持ったのも、これがきっかけ。自分の未来を考えるうえでインターネットの世界は、職業としても、自分の生き方としても向いていると思いましたね。
大学を卒業し、社会に出たのは1999年。当時はまだインターネット産業が今以上に未成熟で、起業する経営者あまりいなかった。私が大学を卒業し最初に入社したのは、ソニーコミュニケーションネットワーク株式会社(現ソネットエンタテイメント)。就職活動の頃は「インターネットの会社なら、どこでもいい」という考えだったけど、それは大きな間違いでした。仕事や会社に不満があったのではなく、ここでは「インターネットで世の中を変えていく」という生き方はできないと感じました。私の望む生き方はベンチャー企業でしか実現でない。そう思って、楽天株式会社へ転職しました。
爆発的な成長をリアルに感じることができる。それがベンチャー企業の魅力です。
私が入社した頃の楽天は、まだ規模も小さくて、会社も未成熟。だからこそいろいろなことを任せてもらえたこと、つまりチャンスが豊富にあったことは大きな経験でした。私がプログラムを覚えたのも、楽天時代。また企画や顧客対応など、事業に対して横断的に関わることができたことも、視野を広げるいい経験でしたね。当時の仕事は大きなものから小さなものまで様々だったけど、その一つひとつに責任を感じながら取り組めたことは、私には大切な財産になりました。
バブル経済が崩壊して以降の日本は、かつてのように右肩上がりの経済ではありません。この先の日本を考えても、人口が減ればGDPも下がる。つまり昨日よりも今日が素晴らしいということを経験できる人が少なくなります。幸いにも私は楽天で、爆発的な成長の中で何かを目指すことができました。もちろん今振り返っても大変なことはたくさんあったけど、こうした空気の中に身を置くことで、本当に素晴らしい経験ができたと思っています。以前の日本には、伝説のベンチャー企業がたくさんありました。でもそれは過去の話。この右肩下がりの時代の中で、爆発的な成長をリアルに実感できる魅力こそが、ベンチャー企業で働く醍醐味じゃないかな。
「こんなサービスが日本にあったらいいのに」。それがGREE開発のきっかけでした。
SNS「GREE」の開発を始めたのは楽天に在職中の時。そのきっかけは、アメリカにはまだ日本には普及していないSNSというサービスがあることを知ったからです。でも、その時点でいずれは自分でベンチャー企業を興し独立しようと考えていたわけではなくて、あくまでもこういうサービスが日本にあったら素晴らしいと純粋に感じたことがきっかけです。
起業を決意したのは、何よりも会員数の増加です。このサービスを維持し、よりよいサービスにしていくには、それに適した器を創るしかない。独立したのはそう思ったからです。
苦難の時期を一緒に乗り越えられる人と、仕事がしたいですね。
グリーには高い目標をめざして頑張っている人が多い。それは面接の時に、こんなことをよく言っているからかもしれない。「そこそこにがんばって、そこそこの会社で、そこそこのことしかやらない。私はそんな考えに興味はありません。そうではなく、どうやったら、より高いレベルで世の中を変えていけるのか。そのために、どうやったら高いレベルの会社をつくれるのか。そのためにはどうすればいいのかに興味があるんです。グリーは、そう思う人に対して良い会社でありたい」と。私を始め経営陣はみなこう考えています。だから、こういう考え方に共感共鳴してくれる人が、グリーには集まってくれているのです。
社内外に「素晴らしいサービスを生み出すために、素晴らしい会社を作る」と表明しているけど、それは「ユートピア」のような「誰にでも良い会社」を作りたいからではない。あくまでも「こういうサービスを作って世の中を変えていくには、どういう会社が存在すればいいのか。そのために社員が居心地の良い会社にするにはどうしたらいいのか」ということ。インターネットを通じて、世界をより良くするための会社づくり。それは決して「ユートピア創造」が目的ではないのです。
経営者として、これからも新しい事業に取り取り組んでいきます。それは何もやらないよりも、失敗する可能性が多いことでもある。私が一緒に働きたいと思う人は、失敗した時、あるいは成功するかどうかわからない時、こうした時に一緒に頑張れる人。失敗したりうまくいかない時に状況を前向きにとらえることができる人と一緒に働きたい。どんな事業だって、永遠に成長を続けることはないですから。苦難の時期だってあるはず。だからこそ何事もあきらめずに前向きにとらえる人と一緒に乗り越えていきたいと思っています。
Mission,VisionそしてValueを明文化して、全員で共有しています。
私たちはMission(存在意義)として「インターネットを通じて、世界をより良くする」。
Vision(めざす姿)として「毎日を楽しく幸せに、社会を自由で効率的に」「新しいサービスをより早く、より多くの人へ」「素晴らしいサービスを生み出すために、素晴らしい会社を作る」。
さらにValue(行動規範)として「ロジカル×クリエイティブ×スピード」「現状に甘んじない。さらに高い目標をめざす」「常に前向きに挑戦する。成功するまでやり続ける」「一流の仲間を集め、一流のチームを作る」「人に、社会に、仕事にまじめ」ということを、社内外にはっきりと打ち出しています。
こうしたことは、全部私のこれまでの歩みの中で気付いたことがベース。これを全員と共有するだけではなく、経営陣が繰り返し語り続けることが必要ではないかと感じています。ちなみに、これらの内容はカード化し社員全員がデスクに置いています。
いずれグリーはSNSやゲームの会社ではなくなるかもしれない。
今のグリーは、SNSやモバイルが中心だけど、私はそのサービス内容にこだわっているわけではないのです。
たとえばアップル社などは、もともとはコンピュータの会社。でも今は携帯端末など様々な事業へと広がっていますよね。私は、自分たちの大枠の事業ドメインを守ること。その上で、時代に合わせたサービスを生み出すこと。こうしたことが大切だと思っています。
だから「インターネットを使ったユーザーサービスで世の中を変えていく」という軸がぶれなければ、グリーの提供するサービス内容そのものはあまり重要ではない。でも今は、SNSやモバイル、ゲームが私たちのできることですし、ユーザーが求めていること。だから今はここにフォーカスしているだけ。現在の会員数は1500万人。この先、さらに会員数が拡大すれば一大メディアとして機能します。その時に何ができるのか。どんなサービスで世の中をより良くしていけるのか。これからもしっかりと考えていきたいですね。
成長企業に大切なのは、事業ドメインの未来と経営者の将来性。
ベンチャー企業志向の人は、小さい会社を選ぶという視点があるかもしれない。でも小さい会社なら何でもいいというわけではない。今は小さくても、これから大きく伸びる会社を選ぶことが大切なのです。私が楽天に入社した頃は数名の小さな会社だったけど、小さい会社に入ったという意識はなかった。それよりも成長する会社に入ったという意識の方が強かったですね。
成長企業になれるかどうかは二つの要素があります。一つは事業ドメインが成長産業なのかどうか。衰退する産業の中で、成長することは難しい。つまり大枠の事業ドメインで成長産業なのかどうかを見ることが大切。楽天の場合、大枠の事業ドメインがインターネットという成長産業だったということが、私にとっては重要でした。だからインターネットモールなどのサービスそのものは二次的なものと捉えていました。
もう一つは経営陣や中心人物が優秀な人かどうか。これは学歴ではなく潜在的に優秀か、優秀になるのかどうかということ。会社でも人でも、今優秀ではなくても、凄くなくても、それほど重要ではない。これから先、成長するのかどうかが大切なのです。私が最初に三木谷さんに会った時、直感的に、この人がこれだけ真摯に事業に立ち向かい、朝から晩まで働いているのなら信じることができると思いました。人間性も能力も、仕事に対するスタンスも、三木谷さんを信じることに納得感が持てた。事業がうまくいくかどうかは二の次で、この人がやっているなら失敗しても仕方がない。当時の私はそう感じて、楽天に入社を決めました。
インターネットはまだまだ進化します。成長産業であることは間違いありません。その中でPCや携帯端末など、技術面での進歩もあるでしょう。しかしそれ以上にそれを使うユーザーの意識も進歩していくはず。例えば、私がSNSを始めた頃、日記や写真は一人で楽しむものだから公開するものじゃないと、多くの人から言われたものです。今、そんなことを言う人はいないでしょう? このようにユーザーの変化を敏感につかみ取ることで、グリーも変化を遂げていきたいと思います。それこそが、私が貫いている「インターネットで、世界をより良くする」ということなのだから。
みなさんもそれぞれの視点を大切に、自分らしい生き方を貫ける企業を選んでください。応援しています。
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グリー株式会社
代表取締役社長 田中さん
1999年、日本大学法学部を卒業後、ソニーコミュニケーションネットワーク(現ソネットエンタテイメント)株式会社 を経て、2000年2月、楽天株式会社入社。2004年2月に個人の趣味としてGREEを開発。同年10月、楽天株式会社を退社。同年12月、グリー株式 会社を設立し、代表取締役に就任。 尊敬する人や経営者は、インターネット業界の礎を作ってきた人たち全てという。こういう人たちの努力があるからこそ、今があると真摯にとらえているという。 社内の平均年齢は29歳。新入社員懇談会、社長主催の毎月の誕生会など、積極的に社員ともコミュニケーションを図る若きリーダーだ。
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