経営者インタビュー
話題のサービスや売上急成長で注目を浴びる、成長企業を直撃!成長の秘訣やベンチャー企業の魅力についてインタビューしています。
» 代表取締役社長CEO 藤田晋 株式会社サイバーエージェント
- サイバーエージェントとは...

サイバーエージェントは、株式会社インテリジェンスから独立した藤田社長が1998年3月に、インターネット関連事業を目的として設立した企業。以来、順調に成長を続け、2000年3月には東証マザーズに上場。ベンチャー企業を代表する会社だ。
| 資本金 | 67億7157万4584円(2009年9月末現在) |
|---|---|
| 事業内容 | 月間100億PV以上のアクセスを集めるインターネットメディア「Ameba」を運営する「Ameba事業」。 PCやモバイルでインターネットにおけるメディア運営を行う「インターネットメディア事業」。 インターネット広告を活用し、企業のインターネットプロモーションをトータルプロデュースする「インターネット広告代理事業」。 インターネット関連企業への投資および事業拡大サポートを行う「投資育成事業」。 以上の4事業を柱とするインターネット企業。 なかでも、「Ameba事業」は黒字化も果たし、今後の大きな柱として注目を集めている。 |
| 役職員数 | 2141名(2009年9月30日現在・連結) |
| URL | http://www.cyberagent.co.jp/ |
成長を続けるためには、歩みを止めないことが大切
この先のインターネット業界は、向こう30年は伸び続けると考えています。そこには絶対的な確信があります。今、インターネットを使いこなす中心世代は、20代から30代前半でしょう。この人たちはみな、インターネットを使って就職活動をし、モバイルインターネットも当たり前のように使いこなしている世代です。その世代が50代、60代になった時のことを考えてみてください。間違いなく、今以上にインターネットを使いこなしているはずです。それと同時に環境も変化していきます。つまり、インターネットを使って、社会や生活が、どんどん便利になるわけです。この業界が、少なくとも30年は伸びると断言できるのは、このように考えているからです。
インターネット業界は、他の業界と比べて、変化のスピードが早い業界。ナローバンドの環境とブロードバンドが普及してからとでは、提供されるサービスの幅が違いますし、モバイルインターネットが存在している時と、していない時も同様です。WEB2.0が出てくる前と後でも。ですから、そういう変化を常に受け止め、その中で絶対に「歩みを止めない」ことが重要なのです。インターネットは先行者メリットが大きい事業。新たな事業を思いついたらまずはスタートさせ、ダメだったら撤退すればいいし、うまくいったら、それを伸ばしていくという発想が大事だと思っています。失敗したとしても、それは必ず経験になるし、人も育ちます。前例がないということで立ち止まったり、そもそもチャレンジをさぼっていたりすると、そこでゲームオーバーになってしまいます。そうやってチャレンジし続けることがインターネット業界で勝ち残る秘訣なのだと思います。
ちなみにサイバーエージェントの創業時は、クリック保証型バナー広告ネットワークの「cyberclick!」が事業の柱でした。この商品は、上場に至るまでの牽引役となってくれましたが、時流にあわせた方向転換の結果で、2001年には撤退しています。「cyberclick!」は、失敗例ではありませんが、企業として成長を続けるためには、創業の礎を作ってくれた思い入れのある商品でも、時代の変化を見極め、撤退するべき時が来たらやめる。こうした柔軟な発想が「歩みを止めない」ことにつながると思います。
一般的な企業は、一つの事業や商品が成功すると、どうしてもそこに固執してしまう傾向にあります。時代の変化を読み切れずに立ち止まってしまうのです。そうならないように、社内では徹底的に意識づけをしています。「歩みを止めない」ためには、新しいチャレンジを生み出し続けなければならないということ。そのためにも、社員が新しいアイデアを出し、チャレンジを奨励する制度も作りました。"ジギョつく"という新規事業プランコンテストです。半年に一回、開催していますが、毎回社員の約10%が応募をしていますいいアイデアが出れば、発案者が事業責任者となって、事業を立ち上げることが出来ます。この制度により、新たな事業アイディアを生み出すのはもちろんのこと、経営者人材の発掘・育成にも一役買っています。
拡大を続けるAmeba
SNSやブログがインターネットの構造をガラッと変えましたが、私自身は、あまり先を見過ぎずに、半年先や一年先を見すえて、サービスに注目するようにしています。その中で今、注目されていて話題がホットなのは、SNSのプラットフォーム上に乗っかってくるソーシャルアプリですね。当社のアメーバも、APIを公開するかどうかは未定ですが、大きなプラットフォームを持っていることが大きな強みになってきます。
「Ameba」が全売上に占める割合はまだ小さいですが、おそらく2010年には、サイバーエージェントグループの事業の中で一番の稼ぎ頭になると思いますよ。利益率の高い事業であることも、経営面では大きな魅力です。
PVや会員数は順調に伸びている「Ameba」ですが、そのなかでも、一番注力しているのが「アメーバピグ」です。これは自分にそっくりのアバターで、チャットや着せ替えが楽しめる仮想空間で、「Ameba」の中で展開しています。
かつて"セカンドライフ"がうまくいかなかった時、その理由として「難しい」「ダウンロードする手間がめんどうくさい」ということが言われていましたが、「アメーバピグ」は、それをブラウザベースでフラッシュを使って、簡単にしたことが大きな特徴。操作が簡単ということもあって、ユーザーの7割が女性なんです。可愛いアバターで、チャットや着せ替えが楽しめることから、特に服や家具、アクションなどのアイテムが売れていますね。また、これまでPCベースでは、課金事業は難しいという定説がありましたが、それを覆すことができたことも大きいでしょう。今、「アメーバピグ」だけでも、単月で1億を超える売上を上げており、まだまだ伸びる事業だと思っています。
強烈に伸びている分、技術者が足らない!
「アメーバピグ」が急成長を遂げる中、それを支える技術者が足りないことが現在の悩み。ですから、技術者採用が、今一番の課題だと感じています。フラッシュを使った動くアバターは、世界的に見ても非常に新しいものです。しかもそれをすべて内製しているのです。
「アメーバピグ」で実現したいアイデアはまだまだあるし、最近ではテレビ朝日とのコラボをはじめ、外部連携の話もたくさんあります。また、「アメーバモバイル」もさらなる機能拡充を行い、成長させていきたいと考えています。経営者としては「今、やりたい!」「急ぎたい!」という思いでいっぱいです。でも、そのためにはどうしても人材が必要なのです。一般的には事業が大きくなればなるほど、そのスピード感は落ちてしまうものです。でも私たちは、同業他社が陥ったような、事業のスピード鈍化でタイミングを逃すミスは犯したくありません。むしろ今だからこそ、新しいものをどんどん打ち出していきたいと考えています。そうなるとどうしても技術者不足の問題は避けて通れません。「アメーバピグ」は、話題性も高く、ユーザーが急増しているサービス。また、デザイナーやエンジニアが中心となって、機能やアイテムのアイディアを実現させており、技術者にとって魅力的なサービスだと思います。
"For The Team"の心を持つ人と、一緒に働きたい。
どこの会社でも優秀な人材といえば「結果を出す人」「こだわりをもって事業にコミットしている人」となるでしょう。だけど私が、採用段階でも評価でも、大切にしているのは"For The Team"の心です。それは自分が成果をあげても、組織の成果があがらなければ満足できない人のことを指します。例えばイチロー選手や松井選手などは、たとえその日、自分が活躍しても、チームが負けた反省し、悔しがっていますよね? それと同じように、自分たちのチームで、あるサービスを開発したら、自分の成果だけではなく、そのサービスを成功させなければ満足できないという感覚を大切にしたいのです。そういう人を重要視していますし、社内でも高く評価をしています。
創業以来、採用には徹底的にこだわってきました。
私が前にいた株式会社インテリジェンスは、採用のうまい会社だったと思います。そこで感じたことは、今でも大きく役立っています。それは、事業内容や商品力よりも、そこに集う人材が他社よりも優秀で、やる気のある人であれば、それだけで絶対的に強い競争力になるということです。優秀な人材を採用し、その人たちをきちんと育成し、モチベーション高く働ける環境をつくれば、会社は確実に成長できるということを知りました。だからサイバーエージェントを設立したてで採用に苦戦していた頃から、採用には力を入れてきました。これが創業時から、「採用」、「育成」、「活性化」と言っていた背景ですね。創業時からこの3つは、徹底的に意識しました。ちなみに2000年に新卒第一期生として入社してくれたのは約20名です。今では取締役もいるし、みんなが会社の真ん中で頑張ってくれています。
社員に長く働いてもらうことも意識しています。今はまだ、サイバーエージェントには定年を迎えた人がいません。だから若い社員は、20年後、30年後の自分自身の未来を考えた時、不安になることもあるでしょう。きちんと社員に対し、長く働ける会社だということを理解して欲しいと思い、打ち出したのが、"終身雇用"です。インターネット業界は、今は新しい業界でも、30年経ったら、新しいだけの業界ではなくなります。必ず成熟した経験や人脈、知識が必要な業界になります。その時に、今いる人たちがきちんと残ってくれていることが、圧倒的な競争力になるはずですから。私が終身雇用や、長く働くことを奨励すると言った時から、急に社内の愛社精神が高まりました。みんな不安だったのでしょう。ちょうどインターネットバブルの頃で、M&Aが活発になり、行き過ぎた実力主義が疑問視された時期でしたからね。そんな時代背景ですから終身雇用という言葉が、すごく注目されましたが、私は、当たり前のことを言っただけという感覚でした。だから最近のサイバーエージェントは、ほとんど人が辞めない会社になってきたのです。昔は決して離職率の低い会社ではなかったのですが、今は、技術者の退職率は一年で1.5%(2009年度)です。
終身雇用は打ち出していますが、一方で年功序列は否定しています。年功序列は、高度成長期の日本には機能したシステムでしょう。でも今は当時とはスピード感が違います。かつての日本にあったような、「ある年次まで来たらゴール」という意味での年功序列は、サイバーエージェントには馴染まないと思っています。
社長がどういう人なのかが、ベンチャー企業を見極めるカギ
ベンチャー企業を見るのであれば、とにかく社長だと思います。何故ならベンチャー企業は、社長の人格、考え方、性格が組織に色濃く反映されるものだから。社長がダメだと、残念ながらその会社は、どう頑張ってもどうしようもない。ではダメな社長とはどういう人かというと、これは様々なパターンがありますね。見栄っ張りな人。情にもろすぎて適切なリーダーシップが取れない人。そもそもセンスがない人もいます。その会社の社長を見極めるということは、いろんなところから情報を集めて、最後は自分で判断するしかないですね。その意味では、きちんと情報を出している社長は信じられるかもしれません。最近では、私のように自分のありのままをブログで公開している社長は、少なくないでしょう。そういうものも参考になるのではないでしょうか。
私は会社自体を、「自分たちで作り上げる、二度と同じ物はできない芸術作品」のように思っています。それは、会社自体がオリジナリティがあるものでなければならないという考え方から。だから、私は「世界最高の芸術作品」を作り上げたい。そう思うようになったのは、大学生のときに「ビジョナリー・カンパニー」という本を読んでからです。それを読んで、自分の将来の目標を考える時に、すごく腹落ちするものがあったのです。
サイバーエージェントは「21世紀を代表する会社を創る」というビジョンを掲げています。これはまさに、会社自体をすばらしいものにしようということです。事業内容や経営者は、いくら途中で変わっても、最終的に永続する素晴らしい会社を創っていけばいいのです。だからこそ、事業内容についても、きわめて柔軟に考えています。事業内容を創業の思いやビジョンとセットにして決めてしまうと、その後、それに縛られてハンドルがきれなくなってきますから。こうした柔軟さは、インターネット業界では非常に正しい戦略だと思います。
さっきも言ったように、私たちが創業のときに打ち出して、上場まで引っ張ってくれた「cyberclick!」という商品は、今は見る影もありません。「世界最高の芸術作品」を創りあげるためには、時代を見極め、柔軟に変わっていく勇気が必要です。その結果として「21世紀を代表する企業」として成長していきたいと思います。
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株式会社サイバーエージェント
代表取締役社長CEO 藤田晋さん
1973年生まれ。1997年、青山学院大学経営学部卒業後、株式会社インテリジェンス入社。翌1998年、サイバーエージェント設立。代表取締役社長に就任。日々の雑感や事業に対する思いなどは、全て自身のブログ「渋谷ではたらく社長のアメブロ」に記されている。
http://ameblo.jp/shibuya/
著書も多い。終身雇用をはじめとして、社員を大切にするという姿勢を打ち出している企業だけに、ユニークな人事制度も多数。なかには社内の飲み会を奨励する制度もあるという。これは毎月一人あたり5000円の懇親会費がに支給されるというもの。社員のことを、とても「よくわかっている」リーダーといえるはずだ。
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